くろの思い出 3

【2018.9.1】

朝、水をほんの少しだけ飲んでくれた。いちど起き上がって押入れの半分だけあいたドアの後ろをのぞき込む。入れるスペースが無いと知ると諦めた。

 

先生からは点滴をするくらいしか・・と言われている。

病院が苦手でずーっと唸って、身体がびっくりするほどブルブル震えるのを見てきているので、ここまで来てそんな思いをさせたくないと思ったり、なんであれ兎に角いのちを延ばす方が良いのでは、と思ったり。

頭と心がぐしゃぐしゃになる。くろの生き方、死に方を決める役目に辛くなる。

食餌は色んなものを試してみたが頑として受け付けないが、痛がっていないこと、水を飲んでいること、これを自分の心の柱にして、自宅で過ごすことに決めた。くろ自身が枯れていくことを選んでいるのだ、と思うことにする。辛い。間違ってる??

 

やってあげられる事がほぼ無い。

ただ側に居てあげて安心してくれるようにと思うだけだ。

離れて戻ると、時々首をあげて不安そうに待っている時がある。

尻尾がわたしの足に触れると安心してパタパタしなくなる。

頭をもたげたときに片方のほっぺを掌で包んで枕にしてあげると、いつもの鼻をグイグイ押し付ける仕草をしてしばらく甘える。

毎日当たり前だったことをわすれてしまいそうだ。

 

15時過ぎあたりから寝返りがしんどくなった。

そっと手伝ってあげる。腰を持ち上げ足を出してあげても、もう抵抗しない。そして寝てる時に、布団や絨毯に爪の先を軽く引っ掛ける、あの動物の本能をしなくなる。丸い可愛い手のまんま。

17時前から小さな痙攣がときどき。小さなため息もたまに。首のあたりを撫でても耳も全く動かさず、反応しないで寝ている。

 

218.9.2】

朝6時起床。外の風が涼しく!!窓を開け放つ。

撫でられ顔を埋め、手のひらをグーパーに広げる。気持ちが良いのか嬉しさマックス。そして気分が高揚したのか愛用のカップから水をガブガブと飲んだ。

がしかし、フラフラ立ち上がりよろよろと廊下に出て困った様子。

吐きたいんだなと、階下に連れて行くと下ろすやいなやすぐに2回白い泡状の液体を吐いた。

常に階段下の廊下で吐こうとするのが、何とも律儀だ。

その後11時くらいまで茶の間で愛用の猫ベッドで寝る。合間に起き上がり窓の前に座り外を眺めていた。

ほぼ起きたままだったので、相当疲れたと思い2階へつれて上がり、ゆっくり寝てもらう。

何事もなく一日が終わりほっとする。