くろの思い出 5

【2018.9.11】

深夜2時ごろ、歩けない身体を無茶して廊下に出てた。

首もグラグラして来てるようでゴンゴン壁にぶつけている。

冷たい場所を選んで移動したのかなと思い、少し放っておく。

迎えに行ってお布団にもどした。そしてまた少ししたら廊下に頑張って出て行った。ついでに水を飲ませてみようとカップを口に持っていった。

もう頭を支えられなくなっていて、抑えてあげて飲ませた。

ゴクゴクと勢い込んで飲み、終わったのにカップに頭を突っ込んだままで出せないので、慌てて頭を持ち上げた。

飲んだ後に美味しかったのか、手をグーパーして喜んでいた。

 

くろのホームグラウンドの自分の部屋で少し過ごし、お布団へ戻す。

3時頃だろうか。いつもとは何か違う感じになってきた。

もう目を開けたままだ。撫でると手をグーパーするのが愛おしい。

呼吸が小さく早くなってきて、時々ちいさい溜息をくりかえす。

これは最後の時が近づいているなと思った。

身体を撫でながらたくさんのありがとうと大好きだよと大丈夫だよを伝えた。たくさんたくさん撫でながら看取ってあげることが出来た。

本当に良かった。4時20分に永眠しました。

静かに息が上がりため息をついて、実に穏やかでほんわりとした、温かさを感じるような最後だった。

 

いまでもこれで良かったのか?っていう迷いみたいなものが時々、胸を締め付ける。

それでもやっぱり、強制的な食事を拒否したくろを尊重してあげた事は間違いではなかったとも思っている。

痛みや苦しさが見られない限り、自宅でしっかりと世話をしていこう決心したこと。

くろの死にざまが実に美しかったことを思い、なんというか良い看取りがが出来たのではないか?と初めて肯定的な気持ちになれている。

「生きて死んでいく」

その言葉通りの姿をみせてもらったこと、教えてもらった事、これは実感をもって学んだくろの置き土産だと思っている。

わたしもあんな風に最後を迎えられたら・・30年後?に会おうね、くろ。